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Nexalコラム

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2023年 国内企業のDX組織を調査~上場企業のDX組織設置率は11.7%~

株式会社Nexal(本社:東京都港区、代表取締役:上島千鶴)は国内企業のDX関連組織とマーケティング組織の設置状況について、最新結果と推移をご報告します。本調査は一般的な企業アンケート方式ではなく 各社のコーポレートサイトに公開されている人事情報の発表記事を自然言語解析によって分析・集計した結果になります。


■ 調査概要
1. 対象データ:Webサイトで人事情報を公開している企業の発表記事(※2021/1/1~2023/5/31)
2. 公開企業数:5,206社
3. 企業属性 :法人番号をベースにした独自DB環境による属性情報付与(約63万社)
4. 集計方法 :人事発表記事から抽出ワードを含む組織名・役職をカウント(※重複処理済)
5. 抽出ワード:DX関連組織=“デジタルトランスフォーメーション”,“DX”,“デジタル推進“
        マーケティング組織=“マーケティング”

■上場企業DX関連組織の設置率は11.7%


人事情報を公開している企業5,206社において、”DX”,"デジタル推進","デジタルトランスフォーメーション"の「DX関連」のワードを含む組織名がある会社は628社。名称はDX本部、〇〇事業本部デジタル推進室、デジタルトランスフォーメーション推進本部など複数存在し、法人番号をキーに全て重複処理を行っています。
調査全体のうち上場企業は3,503社含まれ、DX関連組織がある企業は410社でした。2023年5月の時点で上場企業のDX関連組織設置率は11.7%という結果になりました。


Nexal2023年国内DX組織調査
本調査は過去にも同じ手法で定点調査を行っていますが、2021年の6.47%と比較して5.2ptの増加、社数では2年間で166社増えたことが分かります。※調査全体では263社増加しています。



DXを組織化する業種はIT、建設、不動産、製造の順


以下の表は、人事情報を公開している企業5,206社(※1)に企業属性情報を付与(※2)し、国内企業63万社の企業DBを母数に各属性の組織設置状況を分析した結果です。
※1:人事情報をWebサイトに公開している企業は、比較的規模の大きい企業に限られます。
※2:業種大・小区分、資本金区分、従業員数区分、売上区分、上場区分、都道府県など


Nexal2023年国内DX組織調査ー企業属性分析結果

エンタープライズ企業だけで絞ると、資本金50億円以上(全体)のDX組織設置率は14.5%、従業員数1000人以上(全体)は8.3%、売上げ500億円以上(全体)は12.1%という結果になりました。

売上が500億円以上で平均より設置率が高い業種は、IT業26.9%、建設業25.3%、不動産業16.5%、製造業15.6%の順となり、業種によっては原材料の高騰や労働力不足など、外部環境の急激な変化がDX組織を立ち上げる要因として考えられます。



特に資本金50億円以上で見ると建設・建築業が32.7%と突出しており、現場・空間の3Dデータ化やデジタルツイン、xR技術の導入など将来を見据えた実証実験や研究開発への投資が活発です。

また、製造・機械業でも工場や生産ラインのDX化,データ連携や活用を前提としたデジタルサプライチェーン,調達や需要予測AIの導入,トレーサビリティなど,不安定な世界情勢への対応や環境への取組み意識も相まって,DX関連やESG投資への動きが顕著に見られるようになってきました。不動産業では,アナログな物件管理や契約に関わる書類手続きをデジタル化する既存業務の効率化から,AIによる与信審査や価格査定の先進的な取り組みまで多岐に渡ります。【Nexal,Inc.アナリストコメントより】



DX銘柄2023の53社の実態


2023年5月31日、経済産業省から「DX銘柄2023」32社、「DX注目企業」19社、「DXプラチナ企業2023-2025」3社の合計54社が発表されました。
出典元)経済産業省DX銘柄2023 https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230531001/20230531001.html

選定された54社中、人事情報をWebサイトで公開していた53社のデータを抽出し、DX関連組織、マーケティング組織、インサイドセールスやデジタルセールス組織名が出現するのか解析してみました。


Nexal2023年DX銘柄53社のDX組織調査

53社中DX関連組織があるのは35社、マーケティング組織がある企業は23社、両組織を持つ企業は16社でした。そのうち、デジタルセールス、インサイドセールスという組織名を持つ企業は2社です。社名は公開いたしませんが、インサイドセールスは1事業本部内に組織があり、DX関連やマーケティング組織は本部として設置されていました。

DX関連組織のみの企業は53社中19社です。業種内訳をみると製造業、不動産業、建設業が占め、マーケティング組織はなくともDXの一貫でさまざまな課題に取り組んでいる様子が読み取れます。

尚、本調査は各企業のWebサイトに公開されている人事情報の発表記事を自然言語解析した結果です。組織化されていても担当役員がつかない場合や、一つの課として人事情報が発表されないケースはデータに出現いたしませんので、ご了承ください。




マーケティング組織よりDX組織が急増

 

平行調査として、“マーケティング“組織設置状況の結果を共有します。以下は、人事情報を開示している企業全体と上場企業の組織設置率の推移です。


Nexal2023年国内企業のマーケティング組織調査

デジタルマーケティングに取り組むための利用ツールとして、マーケティングオートメーションツール(「以下MA」)があります。
Nexalでは、MAが各社のWebサイトにどの程度実装されているか、2018年から定点調査(※3)を行っていますが、2021年頃まではMA実装率の増加と共に、事業体の中にマーケティング組織を設置する動きが連動していました。


※3:Nexalコラム 2023年5月 国内63万社MAツール実装調査 

事業体を横断した形で“マーケティング本部”を組織化する企業では、事業単位に個別に導入していた複数のMAを、全社のマーケティングプラットフォーム基盤として統合化し、全社でデータを一元化・共有する傾向があります。(※ただし、業界や商材の親和性が高い事業体同士に限られます。)

また、マーケティング本部は各事業体のマーケティング活動を支援するマーケティングオペレーション組織(以下「MOps」)として機能していることが多く、MAの設定・運用、コンテンツ制作やデジタル施策の支援、オンラインセミナーの実施やデジタルコミュニケーションなどを行っています。しかし、2021年下期頃から違った動きが出てきました。

以下のグラフは上場企業のDX関連組織とマーケティング組織設置率の推移になります。


Nexal2023年上場企業の組織設置率推移

DX銘柄2023の53社の実態で解説した、DX関連組織のみの企業19社の業種に見られるように、社内で様々な課題がある中で、マーケティングや営業プロセスの変革も、全社DXのテーマの1つとして捉える企業が増えてきました。

例えば、DX推進本部の中に、現場・生産DX、人事・法務DX、マーケ・営業DXといったように、さまざまな取り組みテーマを推進するチームを敷き、年度単位に実行計画をたて、その成果をフィードバックするといった動きです。特に製造系では、狭義の“BtoBデジタルマーケティング”は営業DXの1つのテーマであり、事業戦略を着実に実行する手段として取り組む傾向が見られます。

営業DXで取り扱うデータも、マーケティング活動で得たデータだけでなく、CRMの取引情報、ERPの出荷データ、設置した機械のIoTや稼働データ、グループ企業内で持つ保守や修理データなどを統合し、より効果的な営業・マーケティング活動を行う動きが出てきています。【Nexal,Inc.アナリストコメントより】



最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

※調査結果のグラフは引用ルールを守り、セミナーや社内用として自由にご利用ください。
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