連載1:日本企業においてCMOは必要か?
日本企業においてマーケティングに関わる業務は特に縦割り組織が多く、CMOの役割を担う最高責任者は不明確になっている。インターネットが普及している現在、フロントからバックエンドまでの全レイヤーを視野に入れ、リアルとネットのマーケティングの調和をどのように取っていくべきか、Webを企業活動の中にどのように位置付けるべきか、ユーザー企業の実態も踏まえて問題提起と、解決策のためのフレームワークを連載にて紹介する。
--------------------------------
現在BtoC・BtoBtoC・BtoBのWebにおけるコンサルティングを実施しているが、ユーザー企業内において各部門のマーケティング活動を、横断的に統括している責任者がいない実態に驚かされることが多い。
グローバル企業でのCMO(chief marketing officer)最高マーケティング責任者の役割は、日本企業では広報やマーケティング部の責任を持つ取締役か、営業統括責任者が兼任するケースが多い。
しかし、商品企画部、広報宣伝部、EC推進部、営業企画部、販売促進部、調査部、品質企画部、カスタマサービス部、などマーケティング部が存在しなくとも、マーケティングに関わる業務は様々な組織に関わってくる。
マーケティングの定義について、ここで細かく議論はしないが、極論を言えばマーケティングとは企業の価値・売上・ブランドを向上させるための手法や手段、スキルを総称していると考える。
一般的に経営学では、市場から期待する反応を引き出すためのツールとして、ジェローム・マッカーシーが提唱した売り手側から見た4P
・製品(Product)
・価格(Price)
・プロモーション(Promotion)
・流通(Place)
または、フィリップ・コトラーが提唱した7P
・物的証拠(Physical evidence)
・プロセス(Process)
・人(People)
ラウターボーンが提唱した、買い手側から見た4C
・顧客価値(Customer value)
・顧客コスト(Customer cost)
・利便性(Convenience)
・コミュニケーション(Communication)
これらの手法をミックスさせて考えるべきだという各ツールはあるが、では具体的にこれらの視点で物事を考え、組織を横断して企業全体のマーケティングは誰が見ているか、という話になると疑問が残る。
今まで見てきたケースで、一番多いパターンが外部からマーケティングの役員を迎えること。しかし、現場と新任役員との摩擦が多く、すぐに辞めていく。それは何故か。。。
マーケティングの中でもプロモーションや販促しか経験が無く、バックオフィスとの連携、社内業務プロセスの改善、リアルビジネスの経験不足などが多く挙げられる。
特に顧客との接点はリアル店舗、コンタクトセンターやカスタマサポート、直販営業、販路経由などマルチチャネルになり、マーケティングの各ツールは理解していたとしても、多様な視点からの経験が必要になるため、現状の課題を認識しどのように改善・形にしていくのかという実践が伴わないことが多い。
これら企業内のビジネスプロセスを理解し、売り手側の視点と買い手側の視点が把握できていれば、あとはどのように最適化するべきか、ITやネットをどのように位置づけ活用すべきか、というマーケティングのグランドデザインが描ける。
もし、御社にてマーケティング最高責任者を必要とするならば、自社の企業文化、ビジネスプロセスを理解したプロパー役員(生え抜きの社員)を抜擢することをお勧めする。
または外部から採用する場合は、マーケティング畑のみの経験者ではなく、特に商品プロセスや販売プロセスを経験・理解しているセールス畑の人材を採用するべきである。
※上記内容の無断転用掲載・酷似記事の出稿はお断りいたします。
※上記を利用する場合は「(株)Nexal提供」と必ず記載ください。
- ※当該コラムに関する詳細な説明を希望されるお客様は、お気軽にお問合せください。
- ※当該コラムの無断転用・転載等はご遠慮ください。
- ※当該コラムを引用される際は、出典元(Nexal,Inc.)を明記して頂きますよう、お願い致します。