【メールマーケティング考:3回目】メールマーケティングの手法と使い分けの整理
メールマーケティングには様々な手法があります。その手法は主に『メールマガジン型』『ターゲティングメール型』『ステップメール型』『シナリオメール型』に分類できますが、これらの分類毎に用いるべきタイミングや期待できる効果が異なります。今回はより手法にフォーカスして、それぞれの手法分類について整理してみましょう。
【概要】
メルマガ広い対象へ届ける事を前提としており、メールアドレス以外のプロフィール情報を一切取得していなくてもパーミッションさえあれば送ることができるメールです。そのため、広い層を対象として、自社ブランドや製品に対する認知促進および理解促進のための啓蒙コンテンツ、キャンペーン告知、広報的な案内をすることができます。
【よくある課題】
多くの対象にアプローチできる、というメリットがある反面、コンテンツを広い層に届けようとすると浅い内容のコンテンツになってしまうことが多々あります。しかし、一部の層に関心を持ってもらおうとするとその他の層にそっぽを向かれてしまう、ということになりかねません。これは多くのメルマガ運営者が感じるジレンマではないでしょうか・・・?
【課題の解決方法】
『広い対象に届けられる』ということがメリットの手法ですが、この方法が最もマッチするのは熱心なファン層を抱えるようなブランドや、顧客のニーズ傾向が似通ったビジネスモデルの場合が考えられます。これらに該当しない場合、上記に挙げている『広い対象に届けられる』というメリットを削る発想をしなければなりません。顧客の傾向から顧客グループを複数作成(属性情報でも行動情報でも構いません)し、メルマガの構成の一部(件名、コンテンツの一部)を特定顧客グループに向けた内容にすることで、より提供するべき情報が明確になります。すると、対象者にとってもメリットある情報が提供されやすくなり、ブランドへの理解促進が期待できようになります。そのためにはまず、メールアドレスのみの登録フォームを見直すか、送っているメルマガの中で「より貴方にあった情報をご提供するために、アンケートにご回答ください」といった様に購読者(アンケートに答えても良い、と考えている層)自らが情報を提供するような仕組み作りを一工夫してみると良いかもしれません。
【概要】
ある一定の年代、職業、部署、役職、購入履歴などを基に対象者を選定し、特定層に向けた情報発信を行う手法です。この『特定層』に絞り込むことによって、よりその層にとってメリットになる情報を提供しやすくなります。そのため、メルマガ手法よりもターゲットニーズの掘り起しが行いやすく、比較的に購入につながりやすい傾向にあるといえます。
【よくある課題】
『特定層』に向けた情報発信になるため、企業にとって『売り上げになりやすい層』の掬い取りリストになってしまう傾向にあります。そのことで『特定層』以外の層に対してのメールコミュニケーションが一切行われず、リストの放置状態が続くことによってますます企業にとっての『反応の悪いリスト』になってしまいます。
【課題の解決方法】
『特定層』に届けることができるメリットの反面、それ以外の層が放置されてしまう傾向はメルマガを用いることで幾分かカバーできると考えられます。その他にはターゲティング精度を極端に高くせず、アパレル通販なら『年代×性別』程度の精度に絞り、個別の購入状況に合わせたメールを別途用意するなどして、トータルの成果数を上げていく方法があります。どちらかを用いる、どちらも用いる、いずれの場合も、購入率の高い層ばかりを狙ってしまうと『購入数の増加に繋がらない』、という結果になりかねないので注意が必要です。
【概要】
対象者のとった『特定の行動』を起点に定められた期間で発生するメール手法です。たとえば健康食品通販の場合、『(行動1)30日間サンプル申し込み⇒(メール1)サンプルが無くなる少し前に本製品の案内メール⇒(行動2)本製品申し込み⇒(メール2)上位製品の案内⇒・・・・』といったような行動に合わせたステップメールが用意されており、行動を起点に実行される。BtoBの場合は『セミナー参加』や『見積り依頼』を起点に一定期間後に自動メール配信されるケースもあるが、例の健康食品通販のように複数回ステップを踏むケースは稀です。
【よくある課題】
購入ステップを進んでくれる対象者には用意しているメールがあっても、購入ステップに進まなかった対象者のリストはメンテナンスされないケースがあり、リピート施策が十分に行われていないケースが多々存在します。
【課題の解決方法】
購入ステップに進まなかった対象へは製品アンケートを取得し、進まなかった理由を積極的に取得することをおすすめします。継続的な購入や本製品購入に至らなかった理由が他製品でカバーできる内容なのであれば、該当製品をお得に利用できるオファーを出したりすることも可能です。また、属性情報などがあるのであれば、ターゲティングメールやメルマガを併用し、次の検討機会までコミュニケーションを継続する方法も考えられます。
【概要】
『特定の行動』や『メールへの特定反応』によって送付と分岐が行われる手法です。特定条件に対して『YES』or『NO』などで分岐し、それが更に連続して分岐していく流れが一般的で、対象者の『現在の状態(現在の検討プロセス、リテラシー、ニーズなど)』によりフォーカスしたコミュニケーションが実行されます。主に高関与商材で用いられます。
【よくある課題】
検討プロセスやリテラシーを定義できるサイト構造やコンテンツがないため、シナリオメールが実行できない。
【課題の解決方法】
BtoBであれば営業資料を。BtoCなのであれば製品に関する情報深度を階層分けし、階層別にページやコンテンツを設けることで、検討段階、リテラシー、マインドレベル(ニーズの醸成度合い)が示唆される状況を作り上げることが可能です。しかし、前提に行わなければならない定義あります。大前提として対象区分と検討プロセスの定義、次に検討プロセス毎の必要コンテンツやリテラシーの定義などがあります。まずシナリオメールを実行するまでが大変ですが、テストマーケ的にBtoBなら展示会、BtoCの高関与商材ならカタログ請求などを起点に実行し、PDCAを回す経験値を蓄積していくと良いでしょう。
【購読解除(オプトアウト)に怯えてはいけない!!】
「リスト数は減らさないもの。ストックしておけばいつか実る。」という考えは多くの企業・担当者が持たれているかと思います。そのため、購読解除を敢えてしにくい作りにしているケースも少なくありません。しかし、購読解除をしてもらうことで、『誰が』『いつ』『どうなったか』という情報を獲得する機会でもあります。この購読解除行動が示唆するものとして「他社へ流れた、比較で負けた」「情報がマッチしていなかった」「タイミング(時期、間隔、時間帯)が悪かった」などがあり、購読解除しにくい構成はこれらの示唆を取りこぼしていることにほかならないのです。特に購読解除の際にアンケートも取得できれば尚一層その示唆は明確な内容となり、メールマーケティング施策の改善へ繋げることができます。
そして、もう一つのメリットとしては「購読解除したいのに購読解除の仕方がわからない」という状況は、購読者にとっては『嫌な経験』です。この「『嫌な経験』を提供してしまっても良い」という結論に至ってしまっているのであれば、それは顧客視点が『抜け落ちる』or『軽視する』ことへつながりかねない状況か、もう既にそういった状況であることが考えられます。こういった考えを習慣化してしまうことによって、中長期的な影響が組織内に発生するリスクを背負ってしまうのではないか、と私は考えます。
【メール向けコンテンツが枯渇しないように工夫しよう!!】
メールマーケティングの話を様々な企業様とさせて頂いておりますが、メールを含めたコミュニケーション設計を行うため、必要コンテンツの整理をしていくと、大半が「コンテンツが足りない」というような現状が浮き彫りになります。しかし、コンテンツはコミュニケーションが発生している以上『常に作り上げていけるもの』ですので、まずは『不足コンテンツを如何に増やすのか』を考えていかなければなりません。
そのためにも、まずはプロモーション年間カレンダーを作ることをお勧めします。この年間カレンダーでは「世間的な行事」「業界的な行事」「自社の行事」「ターゲット層の発生しうるイベント」を各月(細かくしても月を上旬と下旬に分ける程度)でまとめ、その月にどのようなトピックスを持っていくことで対象者が読んでくれるのか考える事ができます。特にメルマガの場合は季節要素などを盛り込むことが大母数にとって読んでもらいやすいメールになる傾向があります。各月に予定されている行事の内容によってはターゲティングメールでのコンテンツにも利用できます。(シナリオメールは検討状況にフォーカスするような高関与商材との相性がよく、各月の行事が絡むことは少ない傾向にあります。)
『メルマガ型』は定常的に運営しやすい
【概要】
メルマガ広い対象へ届ける事を前提としており、メールアドレス以外のプロフィール情報を一切取得していなくてもパーミッションさえあれば送ることができるメールです。そのため、広い層を対象として、自社ブランドや製品に対する認知促進および理解促進のための啓蒙コンテンツ、キャンペーン告知、広報的な案内をすることができます。
【よくある課題】
多くの対象にアプローチできる、というメリットがある反面、コンテンツを広い層に届けようとすると浅い内容のコンテンツになってしまうことが多々あります。しかし、一部の層に関心を持ってもらおうとするとその他の層にそっぽを向かれてしまう、ということになりかねません。これは多くのメルマガ運営者が感じるジレンマではないでしょうか・・・?
【課題の解決方法】
『広い対象に届けられる』ということがメリットの手法ですが、この方法が最もマッチするのは熱心なファン層を抱えるようなブランドや、顧客のニーズ傾向が似通ったビジネスモデルの場合が考えられます。これらに該当しない場合、上記に挙げている『広い対象に届けられる』というメリットを削る発想をしなければなりません。顧客の傾向から顧客グループを複数作成(属性情報でも行動情報でも構いません)し、メルマガの構成の一部(件名、コンテンツの一部)を特定顧客グループに向けた内容にすることで、より提供するべき情報が明確になります。すると、対象者にとってもメリットある情報が提供されやすくなり、ブランドへの理解促進が期待できようになります。そのためにはまず、メールアドレスのみの登録フォームを見直すか、送っているメルマガの中で「より貴方にあった情報をご提供するために、アンケートにご回答ください」といった様に購読者(アンケートに答えても良い、と考えている層)自らが情報を提供するような仕組み作りを一工夫してみると良いかもしれません。
『ターゲティングメール型』はターゲット精度が高くなる
【概要】
ある一定の年代、職業、部署、役職、購入履歴などを基に対象者を選定し、特定層に向けた情報発信を行う手法です。この『特定層』に絞り込むことによって、よりその層にとってメリットになる情報を提供しやすくなります。そのため、メルマガ手法よりもターゲットニーズの掘り起しが行いやすく、比較的に購入につながりやすい傾向にあるといえます。
【よくある課題】
『特定層』に向けた情報発信になるため、企業にとって『売り上げになりやすい層』の掬い取りリストになってしまう傾向にあります。そのことで『特定層』以外の層に対してのメールコミュニケーションが一切行われず、リストの放置状態が続くことによってますます企業にとっての『反応の悪いリスト』になってしまいます。
【課題の解決方法】
『特定層』に届けることができるメリットの反面、それ以外の層が放置されてしまう傾向はメルマガを用いることで幾分かカバーできると考えられます。その他にはターゲティング精度を極端に高くせず、アパレル通販なら『年代×性別』程度の精度に絞り、個別の購入状況に合わせたメールを別途用意するなどして、トータルの成果数を上げていく方法があります。どちらかを用いる、どちらも用いる、いずれの場合も、購入率の高い層ばかりを狙ってしまうと『購入数の増加に繋がらない』、という結果になりかねないので注意が必要です。
『ステップメール型』は対象者のニーズにフォーカスしやすい
【概要】
対象者のとった『特定の行動』を起点に定められた期間で発生するメール手法です。たとえば健康食品通販の場合、『(行動1)30日間サンプル申し込み⇒(メール1)サンプルが無くなる少し前に本製品の案内メール⇒(行動2)本製品申し込み⇒(メール2)上位製品の案内⇒・・・・』といったような行動に合わせたステップメールが用意されており、行動を起点に実行される。BtoBの場合は『セミナー参加』や『見積り依頼』を起点に一定期間後に自動メール配信されるケースもあるが、例の健康食品通販のように複数回ステップを踏むケースは稀です。
【よくある課題】
購入ステップを進んでくれる対象者には用意しているメールがあっても、購入ステップに進まなかった対象者のリストはメンテナンスされないケースがあり、リピート施策が十分に行われていないケースが多々存在します。
【課題の解決方法】
購入ステップに進まなかった対象へは製品アンケートを取得し、進まなかった理由を積極的に取得することをおすすめします。継続的な購入や本製品購入に至らなかった理由が他製品でカバーできる内容なのであれば、該当製品をお得に利用できるオファーを出したりすることも可能です。また、属性情報などがあるのであれば、ターゲティングメールやメルマガを併用し、次の検討機会までコミュニケーションを継続する方法も考えられます。
『シナリオメール型』は対象者の検討状況やタイミングに合わせやすい
【概要】
『特定の行動』や『メールへの特定反応』によって送付と分岐が行われる手法です。特定条件に対して『YES』or『NO』などで分岐し、それが更に連続して分岐していく流れが一般的で、対象者の『現在の状態(現在の検討プロセス、リテラシー、ニーズなど)』によりフォーカスしたコミュニケーションが実行されます。主に高関与商材で用いられます。
【よくある課題】
検討プロセスやリテラシーを定義できるサイト構造やコンテンツがないため、シナリオメールが実行できない。
【課題の解決方法】
BtoBであれば営業資料を。BtoCなのであれば製品に関する情報深度を階層分けし、階層別にページやコンテンツを設けることで、検討段階、リテラシー、マインドレベル(ニーズの醸成度合い)が示唆される状況を作り上げることが可能です。しかし、前提に行わなければならない定義あります。大前提として対象区分と検討プロセスの定義、次に検討プロセス毎の必要コンテンツやリテラシーの定義などがあります。まずシナリオメールを実行するまでが大変ですが、テストマーケ的にBtoBなら展示会、BtoCの高関与商材ならカタログ請求などを起点に実行し、PDCAを回す経験値を蓄積していくと良いでしょう。
最後に
【購読解除(オプトアウト)に怯えてはいけない!!】
「リスト数は減らさないもの。ストックしておけばいつか実る。」という考えは多くの企業・担当者が持たれているかと思います。そのため、購読解除を敢えてしにくい作りにしているケースも少なくありません。しかし、購読解除をしてもらうことで、『誰が』『いつ』『どうなったか』という情報を獲得する機会でもあります。この購読解除行動が示唆するものとして「他社へ流れた、比較で負けた」「情報がマッチしていなかった」「タイミング(時期、間隔、時間帯)が悪かった」などがあり、購読解除しにくい構成はこれらの示唆を取りこぼしていることにほかならないのです。特に購読解除の際にアンケートも取得できれば尚一層その示唆は明確な内容となり、メールマーケティング施策の改善へ繋げることができます。
そして、もう一つのメリットとしては「購読解除したいのに購読解除の仕方がわからない」という状況は、購読者にとっては『嫌な経験』です。この「『嫌な経験』を提供してしまっても良い」という結論に至ってしまっているのであれば、それは顧客視点が『抜け落ちる』or『軽視する』ことへつながりかねない状況か、もう既にそういった状況であることが考えられます。こういった考えを習慣化してしまうことによって、中長期的な影響が組織内に発生するリスクを背負ってしまうのではないか、と私は考えます。
【メール向けコンテンツが枯渇しないように工夫しよう!!】
メールマーケティングの話を様々な企業様とさせて頂いておりますが、メールを含めたコミュニケーション設計を行うため、必要コンテンツの整理をしていくと、大半が「コンテンツが足りない」というような現状が浮き彫りになります。しかし、コンテンツはコミュニケーションが発生している以上『常に作り上げていけるもの』ですので、まずは『不足コンテンツを如何に増やすのか』を考えていかなければなりません。
そのためにも、まずはプロモーション年間カレンダーを作ることをお勧めします。この年間カレンダーでは「世間的な行事」「業界的な行事」「自社の行事」「ターゲット層の発生しうるイベント」を各月(細かくしても月を上旬と下旬に分ける程度)でまとめ、その月にどのようなトピックスを持っていくことで対象者が読んでくれるのか考える事ができます。特にメルマガの場合は季節要素などを盛り込むことが大母数にとって読んでもらいやすいメールになる傾向があります。各月に予定されている行事の内容によってはターゲティングメールでのコンテンツにも利用できます。(シナリオメールは検討状況にフォーカスするような高関与商材との相性がよく、各月の行事が絡むことは少ない傾向にあります。)
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