「消費者のネガティブ体験に対応する」というソーシャルメディア活用の論調形成は正しいのか?【後編】
先日『NetPR Day2012』において感じた雑感一筆的な記事の後篇です。
前回の記事では前篇として『ソーシャルメディア上にあるネガティブ体験への対応をしないのは残念なこと。』という「『ネガティブ体験への対応』こそがソーシャルメディアでの取り組みで重要である。」という一面のみを取り扱っているように受けて取れる論調形成に対しての疑問と、本来語られるべきもうひとつの一面である『ポジティブ体験』についての考えを整理いたしました。
今回はもうひとつの整理点として「カスタマーサポートとしての利用は(減りはしないかもしれないが)限定的になる。」という発言について考えたいと思います。
「カスタマーサポートとしての利用は(減りはしないかもしれないが)限定的になる。」
この発言の意図として、経営インパクトを基準とした場合の『割に合うか、割に合わないか』というコスト的な一面にあったかと思います。このことは経営判断上、当然なければいけない判断であり共感できた内容でした。
ただし、前回の記事としても主張したように『ポジティブ体験が語られる』ことがこの場合においても重要なコンテンツになり得ると私は考えています。
今回の講演では米国ケーブルテレビ会社のコムキャストが非常に多くの要対応事案を抱え、結果的にソーシャル活用としては負荷が高過ぎて失敗だった、という趣旨のお話もありました。しかし、これは顧客接点において完結をしようとしたからではないでしょうか。「多くの意見を抱える事がコスト上問題」という話しはしていましたが、ソーシャルで対応することが問題とは発言していませんし、私もソーシャルで対応することが問題だと思いません。なぜなら、そのコストの問題はソーシャルメディア上での顧客接点のみで解決しようとすることによって生じるものであり、他のコンテンツやチャネルを組み合わせることでコストの問題は解消される、とも考えられるからです。
このコムキャストはケーブルテレビ会社ですが、日本においてこの業種はさほど多くの商品を扱っている訳ではありません。つまり、発生する事案の予測はある程度可能であることが考えられます。
あくまでも案ではありますが、ユーザー間で解決するQ&Aツールもコンテンツとして導入し、twitter上などでもユーザー間で自己解決して貰えるフローを作ることも考えられますし、twitter上でリアルタイムに発言されている内容に特定の問題傾向があるとすれば、その意見を集約したQ&Aスレッドを立て、そちらでリアルタイムに問題への現在の取り組み状況を実況し、その内容への誘導を同時にtwitterからも促し続けることも考えられます。要は、必ずしも個別対応をしなければならないわけではなく、対応内容をグルーピング化したリアルタイムな対応をしつつ、事案が落ち着いた頃に個別へのフォローをするといったフローを構築し、オペレーションにかかる負荷を分散化しつつも質を担保する状況を作れる土壌を確保することが重要なのではないでしょうか。
タイトルの『「消費者のネガティブ体験に対応する」というソーシャルメディア活用の論調形成は正しいのか?』というのは正しいと思います。
但し、『ソーシャルメディア活用においての一面でしかないと認識するべき』です。
ソーシャルメディアの活用の在り方も企業によって様々ですし、ロールモデルも存在しないと考えるべきです。
ソーシャルメディア活用ありきで考える前に、まずは自社にとって『顧客は誰か』をより具体的に認識し、マインドステータスの仮説設計をしてからでも遅くはないのではないでしょうか?
ガイドラインの策定の話しもソーシャル導入初期の取り組みとして重要ですが、この事についても講演で触れていました。これについても考えを整理したいと感じました。
と、言いますのも、前提とされている「ネットはネガティブだ!だから対応しよう!」という状況をそのまま経営層に上げても、ソーシャルメディアの重要性への認識が強くない限り「え?ネット怖い・・・。」という反応になってしまうのではないでしょうか?
つきましては、一つでも良いので「ソーシャルメディアは消費者とこんなに楽しく有意義な体験を双方向で分かち合えるツールなんです」というポジティブ体験事例を事前に既成事実として作り上げ、説得しトップダウンで組織論へと話しを移せる環境を整えることも初期段階の仕事なのではないでしょうか?
カスタマーサポートを起点に考えてしまうとネガティブ体験の受け皿になってしまうケースも多くなるかと思います。ですから、施策として実施できる小さな体験設計をすることから入り、その体験設計に必要な対応と責任および承認フローを構築するミニマムなプロジェクトも一つの案としては如何でしょうか。
『NetPR Day2012』は台風上陸の日にも関わらず、非常に多くの方が来場され、講演内容もどれも素晴らしい内容でした。
また、ハッシュタグ「#netpr」を付けてtwitterに投稿されていた方々も非常に勉強されている方々が多く、会場でもWebでも有意義な体験をさせて頂きました。
このような企画を実施して頂いたNEWS2Uの皆様を始め、登壇者の皆様、ハッシュタグを投稿されていた方々にはとても感謝をしております。
とても刺激的な一日をありがとうございました。
前回の記事では前篇として『ソーシャルメディア上にあるネガティブ体験への対応をしないのは残念なこと。』という「『ネガティブ体験への対応』こそがソーシャルメディアでの取り組みで重要である。」という一面のみを取り扱っているように受けて取れる論調形成に対しての疑問と、本来語られるべきもうひとつの一面である『ポジティブ体験』についての考えを整理いたしました。
今回はもうひとつの整理点として「カスタマーサポートとしての利用は(減りはしないかもしれないが)限定的になる。」という発言について考えたいと思います。
整理2:カスタマーサポートとしてのソーシャルメディア活用
「カスタマーサポートとしての利用は(減りはしないかもしれないが)限定的になる。」
この発言の意図として、経営インパクトを基準とした場合の『割に合うか、割に合わないか』というコスト的な一面にあったかと思います。このことは経営判断上、当然なければいけない判断であり共感できた内容でした。
ただし、前回の記事としても主張したように『ポジティブ体験が語られる』ことがこの場合においても重要なコンテンツになり得ると私は考えています。
今回の講演では米国ケーブルテレビ会社のコムキャストが非常に多くの要対応事案を抱え、結果的にソーシャル活用としては負荷が高過ぎて失敗だった、という趣旨のお話もありました。しかし、これは顧客接点において完結をしようとしたからではないでしょうか。「多くの意見を抱える事がコスト上問題」という話しはしていましたが、ソーシャルで対応することが問題とは発言していませんし、私もソーシャルで対応することが問題だと思いません。なぜなら、そのコストの問題はソーシャルメディア上での顧客接点のみで解決しようとすることによって生じるものであり、他のコンテンツやチャネルを組み合わせることでコストの問題は解消される、とも考えられるからです。
このコムキャストはケーブルテレビ会社ですが、日本においてこの業種はさほど多くの商品を扱っている訳ではありません。つまり、発生する事案の予測はある程度可能であることが考えられます。
あくまでも案ではありますが、ユーザー間で解決するQ&Aツールもコンテンツとして導入し、twitter上などでもユーザー間で自己解決して貰えるフローを作ることも考えられますし、twitter上でリアルタイムに発言されている内容に特定の問題傾向があるとすれば、その意見を集約したQ&Aスレッドを立て、そちらでリアルタイムに問題への現在の取り組み状況を実況し、その内容への誘導を同時にtwitterからも促し続けることも考えられます。要は、必ずしも個別対応をしなければならないわけではなく、対応内容をグルーピング化したリアルタイムな対応をしつつ、事案が落ち着いた頃に個別へのフォローをするといったフローを構築し、オペレーションにかかる負荷を分散化しつつも質を担保する状況を作れる土壌を確保することが重要なのではないでしょうか。
結論
タイトルの『「消費者のネガティブ体験に対応する」というソーシャルメディア活用の論調形成は正しいのか?』というのは正しいと思います。
但し、『ソーシャルメディア活用においての一面でしかないと認識するべき』です。
ソーシャルメディアの活用の在り方も企業によって様々ですし、ロールモデルも存在しないと考えるべきです。
ソーシャルメディア活用ありきで考える前に、まずは自社にとって『顧客は誰か』をより具体的に認識し、マインドステータスの仮説設計をしてからでも遅くはないのではないでしょうか?
■余談ですが・・・
ガイドラインの策定の話しもソーシャル導入初期の取り組みとして重要ですが、この事についても講演で触れていました。これについても考えを整理したいと感じました。
と、言いますのも、前提とされている「ネットはネガティブだ!だから対応しよう!」という状況をそのまま経営層に上げても、ソーシャルメディアの重要性への認識が強くない限り「え?ネット怖い・・・。」という反応になってしまうのではないでしょうか?
つきましては、一つでも良いので「ソーシャルメディアは消費者とこんなに楽しく有意義な体験を双方向で分かち合えるツールなんです」というポジティブ体験事例を事前に既成事実として作り上げ、説得しトップダウンで組織論へと話しを移せる環境を整えることも初期段階の仕事なのではないでしょうか?
カスタマーサポートを起点に考えてしまうとネガティブ体験の受け皿になってしまうケースも多くなるかと思います。ですから、施策として実施できる小さな体験設計をすることから入り、その体験設計に必要な対応と責任および承認フローを構築するミニマムなプロジェクトも一つの案としては如何でしょうか。
■最後に
『NetPR Day2012』は台風上陸の日にも関わらず、非常に多くの方が来場され、講演内容もどれも素晴らしい内容でした。
また、ハッシュタグ「#netpr」を付けてtwitterに投稿されていた方々も非常に勉強されている方々が多く、会場でもWebでも有意義な体験をさせて頂きました。
このような企画を実施して頂いたNEWS2Uの皆様を始め、登壇者の皆様、ハッシュタグを投稿されていた方々にはとても感謝をしております。
とても刺激的な一日をありがとうございました。
- ※当該コラムに関する詳細な説明を希望されるお客様は、お気軽にお問合せください。
- ※当該コラムの無断転用・転載等はご遠慮ください。
- ※当該コラムを引用される際は、出典元(Nexal,Inc.)を明記して頂きますよう、お願い致します。