「消費者のネガティブ体験に対応する」というソーシャルメディア活用の論調形成は正しいのか?【前編】
今回初めてNexalの一員としてブログを書かさせて頂くことになりましたピーターと申します。
先日『NetPR Day2012』にて米国のソーシャルメディアへの取り組みについて、国際的に活躍する米国PR系企業エデルマン・デジタルのKevin King氏による「ソーシャルメディアに取り組む前に必要なこと~Edelman digitalが実施している企業内教育プログラム“Social media belt system”とは」という題材の講演を拝聴する機会があり、そのことについて書きたいと思います。
この講演では、米国のソーシャルメディアへの取り組みの最新動向を同時通訳を通して組織論まで進んでいる米国企業の実情など知ることができ、日本の現状よりも進んでいる現実を目の当たりにし、非常に有意義な講演でした。
その中で、ソーシャルメディアへの取り組みについての論調形成について考えさせられる部分があり、そのことについて今回は取り上げたいと思います。
今回の講演が日本に対しての参考例的ポジションでの講演であったという認識から「日本においてはより前提の話しを整理する必要があるのではないか」といった考えからの記事となりますので、予めご認識頂ければと思います。
また、当日語られていた視点は主にBtoC視点であったことも事前に共通認識としてお伝えします。
この講演では「(米国での)多くの企業がネット上で発言されているネガティブ体験への対応もしなければ、活かすこともなく、聴いてもいない。とても残念なことだ。」という様な発言がありました。
まず、この事自体には問題はないと考えています。多くの『BtoCの場合』は、と限定はさせて頂きますが。
実は昨今のソーシャルメディア周りの取り組み啓蒙も一貫してこの論調形成がなされています。
もう一度繰り返しになりますが、その事自体には問題はありません。
問題なのは『そのことしか大前提として語られなかったこと』です。
ソーシャルメディア上で発言されることの多くはネガティブ体験だと言われています。
事実として、自分自身がソーシャルメディアに限らずネットニュースなどでもネガティブな情報の方が多い印象を受けます。
これはネットに限らず、新聞やテレビなどの報道でも同じ事が言えるでしょう。
世間はポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が、自身の生活への影響も含め考察し、「もし、自分がそうだったら」「もし、身近にそんなことが起きたら」と想像してしまいます。
しかし、ポジティブ体験は自分の事として想像がしにくく、疑似体験も含めた共通体験を生み出しにくく、結果的に共感されないため、語る為のインセンティブとしての共感はネガティブの方が勝っていると考えられます。
しかしながら、ネガティブな体験を通して満足度を向上させる「カイゼン的発想」のみがソーシャルメディアの活用方法なのでしょうか?
答えはノーです。
『ネガティブ体験 ⇒ 対応 ⇒ 改善 ⇒ 満足度向上』
上記の流れは一見とても良いフローの様に思えますし、実際に良いフローなのでしょう。
ただし、発生した事案への対応という点で『受け身の姿勢』とも考えられます。
では、以下のフローについては如何でしょうか?
『ポジティブ体験 ⇒ 共有 ⇒ 共感、疑似体験 ⇒ 満足と期待値の向上』
このフローは、普段語られにくい『ポジティブ体験』をどの様にして語ってもらい、他に疑似体験をもたらすかを起点に発想される『施策』です。
所謂『バイラル・マーケティング』的発想であり、インバウンドに重要なコンテンツでもあります。(この場合、手法としては『ゲーミフィケーション』ではないと考えます。)
ブランドにとってネガティブへの対応はブランドへの信頼の観点からも対応するべき領域であることは言うまでもありませんが、ポジティブ体験が語られブランド信頼度を向上させる文脈も意識されるべきだと考えます。
この両輪を意識しつつ、オペレーション上の負荷を含めたバランスをどのように取るのかが、本来の前提にあるべきだと考えます。
※この部分については第三部の講演で補完されていた印象です。
この講演ではその他にも「カスタマーサポートとしての利用は(減りはしないかもしれないが)限定的になる。」という発言内容もあり、このことについても考えてみたいのですが、それは後編で。
先日『NetPR Day2012』にて米国のソーシャルメディアへの取り組みについて、国際的に活躍する米国PR系企業エデルマン・デジタルのKevin King氏による「ソーシャルメディアに取り組む前に必要なこと~Edelman digitalが実施している企業内教育プログラム“Social media belt system”とは」という題材の講演を拝聴する機会があり、そのことについて書きたいと思います。
この講演では、米国のソーシャルメディアへの取り組みの最新動向を同時通訳を通して組織論まで進んでいる米国企業の実情など知ることができ、日本の現状よりも進んでいる現実を目の当たりにし、非常に有意義な講演でした。
その中で、ソーシャルメディアへの取り組みについての論調形成について考えさせられる部分があり、そのことについて今回は取り上げたいと思います。
今回の講演が日本に対しての参考例的ポジションでの講演であったという認識から「日本においてはより前提の話しを整理する必要があるのではないか」といった考えからの記事となりますので、予めご認識頂ければと思います。
また、当日語られていた視点は主にBtoC視点であったことも事前に共通認識としてお伝えします。
整理1:「発信されるネガティブ体験への対応をするべきだ!」について
この講演では「(米国での)多くの企業がネット上で発言されているネガティブ体験への対応もしなければ、活かすこともなく、聴いてもいない。とても残念なことだ。」という様な発言がありました。
まず、この事自体には問題はないと考えています。多くの『BtoCの場合』は、と限定はさせて頂きますが。
実は昨今のソーシャルメディア周りの取り組み啓蒙も一貫してこの論調形成がなされています。
もう一度繰り返しになりますが、その事自体には問題はありません。
問題なのは『そのことしか大前提として語られなかったこと』です。
ソーシャルメディア上で発言されることの多くはネガティブ体験だと言われています。
事実として、自分自身がソーシャルメディアに限らずネットニュースなどでもネガティブな情報の方が多い印象を受けます。
これはネットに限らず、新聞やテレビなどの報道でも同じ事が言えるでしょう。
世間はポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が、自身の生活への影響も含め考察し、「もし、自分がそうだったら」「もし、身近にそんなことが起きたら」と想像してしまいます。
しかし、ポジティブ体験は自分の事として想像がしにくく、疑似体験も含めた共通体験を生み出しにくく、結果的に共感されないため、語る為のインセンティブとしての共感はネガティブの方が勝っていると考えられます。
しかしながら、ネガティブな体験を通して満足度を向上させる「カイゼン的発想」のみがソーシャルメディアの活用方法なのでしょうか?
答えはノーです。
『ネガティブ体験 ⇒ 対応 ⇒ 改善 ⇒ 満足度向上』
上記の流れは一見とても良いフローの様に思えますし、実際に良いフローなのでしょう。
ただし、発生した事案への対応という点で『受け身の姿勢』とも考えられます。
では、以下のフローについては如何でしょうか?
『ポジティブ体験 ⇒ 共有 ⇒ 共感、疑似体験 ⇒ 満足と期待値の向上』
このフローは、普段語られにくい『ポジティブ体験』をどの様にして語ってもらい、他に疑似体験をもたらすかを起点に発想される『施策』です。
所謂『バイラル・マーケティング』的発想であり、インバウンドに重要なコンテンツでもあります。(この場合、手法としては『ゲーミフィケーション』ではないと考えます。)
ブランドにとってネガティブへの対応はブランドへの信頼の観点からも対応するべき領域であることは言うまでもありませんが、ポジティブ体験が語られブランド信頼度を向上させる文脈も意識されるべきだと考えます。
この両輪を意識しつつ、オペレーション上の負荷を含めたバランスをどのように取るのかが、本来の前提にあるべきだと考えます。
※この部分については第三部の講演で補完されていた印象です。
この講演ではその他にも「カスタマーサポートとしての利用は(減りはしないかもしれないが)限定的になる。」という発言内容もあり、このことについても考えてみたいのですが、それは後編で。
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