2017年上期 国内33.3万社のMAツール実装調査
国内でマーケティングオートメーション(以下「MA」)ツールはどの程度導入が進んだのか、調査結果を報告します。一般的なベンダー自己申告制のアンケートではなく、Webサイトに対象タグが実装されているか実態を調査しました。
全調査対象33.3万社におけるMA導入数は1677サイト、国内企業MA導入率は0.5%という結果になりました。
上場企業だけで見ると、調査時点の3654社中、MA導入数157サイト、上場企業のMA導入率は4.3%です。複数のMAツールを実装しているケースが多くみられたため、単純積み上げ方式ではなく重複処理を行いました。
以前、2016年1月も主要なMAツール4種を調査しています。(過去コラム「MAツールとタグマネの実装調査 2016年1月」)前回と同条件で比較してみると、上場企業のMA導入率は0.9%(2016年1月)から1.1%(2017年5月)と約1年半で0.2ポイント増えています。
企業の規模別にどの程度MAツールの導入が進んでいるのか分析しました。
まず、MA導入企業サイト1677の属性情報から資本金区分で割合を算出してみました。
結果として資本金3千万以上1億未満の企業割合が26.4%と最も高く、次に1億以上10億未満の25.2%、1千万以上3千万未満の18.4%と続きます。資本金10億円以上は、50億以上と合わせて12%という結果になりました。
上記は導入企業サイト数を100とした時の割合になるため、資本金別の国内企業数(調査対象)を母数としたMA導入率を出してみました。
最もMA導入が進んでいる企業規模(資本金区分)は、10億円以上50億円未満の4.0%という結果になりました。10億円以上の企業になると複数のツールを利用する傾向が高くなります。その理由として部門・組織によってツールを使い分けているか、ツール検証や入替え中か、ツールの販売パートナーとして実装しているなど考えられます。
次に業種割合を見てみましょう。グラフの業種は19分類にグループ分けしていますが、実際の小分類は94業種で分析しています。結果は「情報通信・広告・マスコミ」、「製造・機械」、「卸売・小売」の順になりました。デジタルマーケティング業界の動向やお客さまの状況を身近に見ている者として、肌感覚に近い結果となりました。
こちらも導入企業サイト数を100とした時の割合になるため、上位7業種の国内企業数(調査対象)を母数としたMA導入率を出してみました。
業種別のMA導入率では、情報通信・広告・マスコミが1.33%と最も高く、次にサービス業0.63%、コンサル・会計・法務が0.55%と続きます。製造・機械におけるMA導入率は0.5%という結果でした。
他に導入率1%を超えた業種として、企業母数自体は少ないですが人材派遣業や教育・学習支援業が該当しました。
さて、ここから様々な波紋を呼びそうなツール別の分析になります。どのような結果になるでしょうか。
念のため記載しますが、今回は企業情報が記載されているコーポレートサイト(企業サイト)内の数ページを調査対象にしています。つまりMAツールを一部のランディングページとして使っている場合や、商品独自ドメインのキャンペーンページで利用している場合などは結果としてカウントされない、ということになります。
過去、国内外の調査会社が発表している結果と、大きく異なる可能性があることを前提に、読み進めていただけますと幸いです。
調査した13種のMAツールは海外製だけでなく、お客さま先でよく耳にする国内製を含めて選定しました。他にも調査対象に加えて欲しいツールがございましたら、ご要望をお待ちしています。
実は今回の調査で、1つ以上のタグマネージャー(以下「タグマネ」)を実装している企業サイトが、約1万サイト(全体の2.8%)も見つかりました。調査したタグマネはGTM(Google)、YTM(Yahoo!)、DTM(Adobe)の3種です。
上場企業のタグマネ導入率を前回調査と比べると、13.3%(2016年1月)から14.2%(2017年5月)と約1年半0.9ポイントも増えていました。よって、一番多く利用されているGTM内の実装結果も集計しています。
※注)ツール単位の集計結果になりますので、足してもMA導入サイト数1677になりません。
タグが実装されていたとしても、実際にどこまで利活用しているかは分かりません。ただ、この結果を見ると、国内製ツールの導入が増えた印象を受けます。海外ツールに関しては、事業規模や業態によって向き不向きがあると言われていますので、まず資本金区分で分析した結果を見てみましょう。
※注)導入数が40サイト未満のツールは、グラフ表示から省いています。
資本金10億円以上の割合が多いツールは、Shanon、Synergy!、Marketoの順になりました。国内製ツールが上位に入る理由として、各社で必ず議題に上がる『名寄せ問題』だと考えられます。
海外ツールは主にメールアドレスだけをキーに名寄せされます。一方で国内ベンダーの開発するツールは、学校や研究所など複数人で1つのメールアドレスを共有することを考慮し、組織や個人名をセットしたID管理の機能があります。国内製ツールを選択する理由の一つに、この名寄せ機能が挙げられます。
※注)ツールによって仕様が微妙に異なるため、個別にご確認ください。
次に業種割合を出してみます。
製造・機械にフォーカスしてみると割合は、ListFinder、Marketo、Kairos3、Synergy!の順になります。
※注)実際の導入サイト数では、Marketoの次にPardotが入ります。
導入企業の売上や業種小分類を確認すると、国外の売上比率が高いグローバル企業ほど海外製のツールを使い、国内売上がメインの企業ほど国内製のツールを使う傾向が高いことが、結果から分かりました。
※注)ただし売上が100億を超える企業では複数ツールを利用する傾向が高くなります。
さまざまな企業属性情報で分析した中から、興味深い内容を共有します。
1.2種類以上のMAを導入している企業では、海外製+国内製の組み合わせ利用が多い。
-Oracle Eloquaとの組み合わせ利用で多いのはShanon
-Marketoとの組み合わせ利用で多いのはListFinderまたはPardot、次にSynergy!
2.前回調査との差から、既にMAツールの置き換え(買い替え)が発生している。
3.国内8地域別の導入率は、高い順に関東→関西→北海道→中部→東北という結果。
※本社住所で分類
今後も、継続的に市場動向を探っていきたいと思います。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
調査結果のグラフは、引用ルールを守り自由にご利用ください。
最後に、Nexalではデジタルマーケティング戦略策定コンサルにおける現状・実態調査の一環で、同業や競合をはじめ国内外グローバル企業とのベンチマーク調査を行っています。よって、当コラムの調査結果データだけ販売して欲しい、などのご要望にはお応えできませんので、ご了承ください。
1. 調査期間 : 2017年5月
2. 調査対象 : 国内332,688社の企業サイト内
3. 調査方法 : 独自プログラムを用いたWebサイトクローリングによるソースコード調査
※Googleタグマネージャー内部の調査も含む
4. 調査ツール: 国内外主要13種類のツール
5. 企業属性 : 法人番号をベースにした独自DB環境による属性情報付与
☑ 上場企業のMA導入率は4.3%
全調査対象33.3万社におけるMA導入数は1677サイト、国内企業MA導入率は0.5%という結果になりました。
上場企業だけで見ると、調査時点の3654社中、MA導入数157サイト、上場企業のMA導入率は4.3%です。複数のMAツールを実装しているケースが多くみられたため、単純積み上げ方式ではなく重複処理を行いました。
以前、2016年1月も主要なMAツール4種を調査しています。(過去コラム「MAツールとタグマネの実装調査 2016年1月」)前回と同条件で比較してみると、上場企業のMA導入率は0.9%(2016年1月)から1.1%(2017年5月)と約1年半で0.2ポイント増えています。
☑ MA導入が最も進んでいる企業の資本金は10億円以上50億円未満
企業の規模別にどの程度MAツールの導入が進んでいるのか分析しました。
まず、MA導入企業サイト1677の属性情報から資本金区分で割合を算出してみました。
結果として資本金3千万以上1億未満の企業割合が26.4%と最も高く、次に1億以上10億未満の25.2%、1千万以上3千万未満の18.4%と続きます。資本金10億円以上は、50億以上と合わせて12%という結果になりました。
上記は導入企業サイト数を100とした時の割合になるため、資本金別の国内企業数(調査対象)を母数としたMA導入率を出してみました。
最もMA導入が進んでいる企業規模(資本金区分)は、10億円以上50億円未満の4.0%という結果になりました。10億円以上の企業になると複数のツールを利用する傾向が高くなります。その理由として部門・組織によってツールを使い分けているか、ツール検証や入替え中か、ツールの販売パートナーとして実装しているなど考えられます。
☑ 業種区分ではIT(情報通信)の割合が最も高い
次に業種割合を見てみましょう。グラフの業種は19分類にグループ分けしていますが、実際の小分類は94業種で分析しています。結果は「情報通信・広告・マスコミ」、「製造・機械」、「卸売・小売」の順になりました。デジタルマーケティング業界の動向やお客さまの状況を身近に見ている者として、肌感覚に近い結果となりました。
こちらも導入企業サイト数を100とした時の割合になるため、上位7業種の国内企業数(調査対象)を母数としたMA導入率を出してみました。
業種別のMA導入率では、情報通信・広告・マスコミが1.33%と最も高く、次にサービス業0.63%、コンサル・会計・法務が0.55%と続きます。製造・機械におけるMA導入率は0.5%という結果でした。
他に導入率1%を超えた業種として、企業母数自体は少ないですが人材派遣業や教育・学習支援業が該当しました。
さて、ここから様々な波紋を呼びそうなツール別の分析になります。どのような結果になるでしょうか。
念のため記載しますが、今回は企業情報が記載されているコーポレートサイト(企業サイト)内の数ページを調査対象にしています。つまりMAツールを一部のランディングページとして使っている場合や、商品独自ドメインのキャンペーンページで利用している場合などは結果としてカウントされない、ということになります。
過去、国内外の調査会社が発表している結果と、大きく異なる可能性があることを前提に、読み進めていただけますと幸いです。
☑ タグ実装結果からListFinder、Pardot、Marketoの順に多く導入されている
調査した13種のMAツールは海外製だけでなく、お客さま先でよく耳にする国内製を含めて選定しました。他にも調査対象に加えて欲しいツールがございましたら、ご要望をお待ちしています。
実は今回の調査で、1つ以上のタグマネージャー(以下「タグマネ」)を実装している企業サイトが、約1万サイト(全体の2.8%)も見つかりました。調査したタグマネはGTM(Google)、YTM(Yahoo!)、DTM(Adobe)の3種です。
上場企業のタグマネ導入率を前回調査と比べると、13.3%(2016年1月)から14.2%(2017年5月)と約1年半0.9ポイントも増えていました。よって、一番多く利用されているGTM内の実装結果も集計しています。
※注)ツール単位の集計結果になりますので、足してもMA導入サイト数1677になりません。
タグが実装されていたとしても、実際にどこまで利活用しているかは分かりません。ただ、この結果を見ると、国内製ツールの導入が増えた印象を受けます。海外ツールに関しては、事業規模や業態によって向き不向きがあると言われていますので、まず資本金区分で分析した結果を見てみましょう。
※注)導入数が40サイト未満のツールは、グラフ表示から省いています。
資本金10億円以上の割合が多いツールは、Shanon、Synergy!、Marketoの順になりました。国内製ツールが上位に入る理由として、各社で必ず議題に上がる『名寄せ問題』だと考えられます。
海外ツールは主にメールアドレスだけをキーに名寄せされます。一方で国内ベンダーの開発するツールは、学校や研究所など複数人で1つのメールアドレスを共有することを考慮し、組織や個人名をセットしたID管理の機能があります。国内製ツールを選択する理由の一つに、この名寄せ機能が挙げられます。
※注)ツールによって仕様が微妙に異なるため、個別にご確認ください。
次に業種割合を出してみます。
製造・機械にフォーカスしてみると割合は、ListFinder、Marketo、Kairos3、Synergy!の順になります。
※注)実際の導入サイト数では、Marketoの次にPardotが入ります。
導入企業の売上や業種小分類を確認すると、国外の売上比率が高いグローバル企業ほど海外製のツールを使い、国内売上がメインの企業ほど国内製のツールを使う傾向が高いことが、結果から分かりました。
※注)ただし売上が100億を超える企業では複数ツールを利用する傾向が高くなります。
☑ その他の傾向
さまざまな企業属性情報で分析した中から、興味深い内容を共有します。
1.2種類以上のMAを導入している企業では、海外製+国内製の組み合わせ利用が多い。
-Oracle Eloquaとの組み合わせ利用で多いのはShanon
-Marketoとの組み合わせ利用で多いのはListFinderまたはPardot、次にSynergy!
2.前回調査との差から、既にMAツールの置き換え(買い替え)が発生している。
3.国内8地域別の導入率は、高い順に関東→関西→北海道→中部→東北という結果。
※本社住所で分類
今後も、継続的に市場動向を探っていきたいと思います。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
調査結果のグラフは、引用ルールを守り自由にご利用ください。
最後に、Nexalではデジタルマーケティング戦略策定コンサルにおける現状・実態調査の一環で、同業や競合をはじめ国内外グローバル企業とのベンチマーク調査を行っています。よって、当コラムの調査結果データだけ販売して欲しい、などのご要望にはお応えできませんので、ご了承ください。
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