リードとは何か、シナリオとは何なのか【中級編】
現在、リード・ナーチャリング実践編の書籍執筆を急ピッチで進めていますが、その中から、前提となる「リード」について、先にブログにまとめておきます。
海外では、
など、リードを区別するために様々な”言い回し”があります。しかし日本語で書かれているホワイトペーパーなどは、通り一遍に「見込み顧客/見込み客」などと意訳されることが多く、誤解を招く訳かな?と思います。見込み客とは、誰にとっての見込みなのか?何をもって見込みと判断するのか?見込み客以外はナーチャリング対象ではないのか?という疑問が湧きます。
※厳密に言えば、「リード」と「リード情報」は別物です。
本来、「リード(Lead)」という単語は、「導く、案内する、手を引く」といった意味です。
そこにSalesという単語が付くと、いつか買ってくれそうな客からの「引き合い」という意味になり、うまく説明できないために、簡単に訳すと「見込み顧客/見込み客」という日本語になりがちです。
しかし海外のマーケターやアナリストと会話していると、そこにCustomerという言葉は出てきません。
つまり、リードとは、顧客自身のことを指すのではなく、引き合いという接点や接触したタイミングという概念なのです。相手が誰か、どのような状態にあるのか、といったことは、「リード情報」から得られる内容になります。
接触する相手には、既存顧客もいれば、見込み顧客もいる。まだ全く情報を獲得していない潜在顧客もいるわけです。まだ買うかどうかわからないため、将来客/未来客などと言われるのも同じ理由です。
もう少し詳しく説明しましょう。
最近、「インバウンド・マーケティング(Inbound Marketing)」や「アウトバウンド・マーケティング(Outbound Marketing)」という言葉が国内でもよく使われるようになってきました。「プル型セールス」、「プッシュ型セールス」などとも言われますが、どちらも情報の方向性で見ると、二系統に分かれます。
1.企業⇒個客(企業側から、メールや電話、DMなどを送って相手に注目してもらう)
2.個客⇒企業(個客自らの意思で検索する、電話する、Webを閲覧する、店舗などに足を運ぶ)
チャネル、メディア、デバイスなど、企業と個客の接点/接触ポイントは多々ありますが、企業側からのアプローチは全て「アウトバウンド」という考え方です。それに対して「インバウンド」は、個客自らの意思にて接触行動を行う場合を指します。
こうした個客自らの意思によって、企業やサービスを「見つけてもらう」活動のことをインバウンド・マーケティングと言います。個客に見つけてもらうためには、自分達の製品やサービスを将来買ってくれる可能性の高い人が集まる、「ハブ(核)となる場所(すなわち、HubSpot)」を作るべきだ、という考え方が米HubSpot社CEOのBrian Halligan氏の意見です。
▼2011年7月 HubSpot社 表敬訪問時の写真
※リードナーチャリング勉強会にて、昨年のUS視察報告をさせて頂きましたが、興味ある方は是非Facebookをご覧ください。
ソーシャルメディア、オウンドメディアなど、メディアの分け方もトリプル、クワトロ等々、いろいろ言われていますが、個人的には、そこにコミュニケーションすべき相手がいる限り、接点/接触ポイントを用意すべきである、という理解をしています。
SEO対策やリスティング広告もその一種ですが、ターゲティング広告になるとプッシュ型になるので、アウトバウンドに近くなります。ただ、広告だから一概に全てプッシュ型=アウトバウンドかと言うと、そうとも言い切れません。
個客自らの意思によって企業に接触してもらうため、気づいてもらうため、発見してもらうためには何をすべきか――
インバウンド・マーケティングとは、これまでのメガホン型のマスメディアなど、プッシュ型(アウトバウンド)のコミュニケーションに頼らず、いかに相手のマインドに寄り添って接客するか(「おもてなし」や情報を提供/コミュニケートするのか)、という考え方だと理解するのが日本的ではないかと思います。
その根本にあるのは、相手の心を動かす「共感、関心、納得」といったマインドを醸成することで、コンテンツ内容や、接客(Web含む)の仕方、全てに関わってきます。
※最近よく「コンテクスト(文脈)が必要」などと言われるのは、そのためです。受け手にどのような感情や情感が湧くのか、という視点で考えることが重要になります。
話を戻し、整理します。
「タッチポイント」とは、企業と個客の接点/接触ポイントです。オンラインやオフラインという区別はなく、あらゆる接点のことを指します。
※海外ではオンラインが中心になりますが、日本の場合、店舗や営業といったオフラインでの接点も視野に入れる企業が多いです。
企業ブランドと個客(見る、触る、使う、試す、聞く、話す、読む、という五感)の接点がどこにあるのかを考え、単に見るだけ、店に来るだけ・・・ではなく、個客自らが行動(連絡をする、相談をする、見積りを依頼する、などの行動)を起こしたケース=(セールス・)リードと呼んでいるのです。
また、インバウンドだけでは、相手のマインドは醸成されません。そこにはコミュニケーションが発生するため、企業と個客とのやりとりが必ず発生します。
実は、リード(接点)とナーチャリング(マインドの醸成・育成)の間には、コミュニケート(伝える)という言葉が隠されています。
ナーチャリング・シナリオ設計では、アウトバウンドとインバウンドを「対面の会話」のように組み合わせていきます。裏側では、相手の反応や状態に応じて発信する情報を変えたり、絞り込んだり(=qualification)します。
※データベース・マーケティングと呼ばれることもあります。絞り込みの際には、スコアリング・モデルを使用します。
「シナリオ」と言うと、追い込み漁みたいで、刈り取り型の営業と同じではないかという意見もありますが、その仕掛けも様々です。
※一般的な企業では、年度や四半期単位で予算が決められているため、評価(効果)を算出するために、三ヶ月単位でシナリオを導入されるケースが多いです。
期間限定のキャンペーンやプロモーションもあれば、インバウンドの仕掛けも考えられます。
マーケティング・オートメーション・ツールは、このシナリオを自動化してくれるシステムです。人間が対面や電話などで全て対応できない場合に役立ちます。ただ、商材によっては対面営業でのやりとりが全て置き換えられるわけではありません。
シナリオによっては、営業担当者向けに「ここを回れリスト」を自動作成したり、「ここに電話しなさいリスト」を自動表示させる、などといったことも可能です。
どのように網を仕掛けておくのか、そこには情報システム部門も絡み、プラットフォーム/仕組みの構築が必須です。
最近は、概論ではなく、実践編として仕組みを構築したいというご相談が多く来ています。
・・・皆さんも、そろそろ実行に移しませんか?
海外では、
Sales Lead
Marketing Qualified Lead
Sales Ready Lead
Sales Qualified Lead
など、リードを区別するために様々な”言い回し”があります。しかし日本語で書かれているホワイトペーパーなどは、通り一遍に「見込み顧客/見込み客」などと意訳されることが多く、誤解を招く訳かな?と思います。見込み客とは、誰にとっての見込みなのか?何をもって見込みと判断するのか?見込み客以外はナーチャリング対象ではないのか?という疑問が湧きます。
※厳密に言えば、「リード」と「リード情報」は別物です。
本来、「リード(Lead)」という単語は、「導く、案内する、手を引く」といった意味です。
そこにSalesという単語が付くと、いつか買ってくれそうな客からの「引き合い」という意味になり、うまく説明できないために、簡単に訳すと「見込み顧客/見込み客」という日本語になりがちです。
しかし海外のマーケターやアナリストと会話していると、そこにCustomerという言葉は出てきません。
つまり、リードとは、顧客自身のことを指すのではなく、引き合いという接点や接触したタイミングという概念なのです。相手が誰か、どのような状態にあるのか、といったことは、「リード情報」から得られる内容になります。
接触する相手には、既存顧客もいれば、見込み顧客もいる。まだ全く情報を獲得していない潜在顧客もいるわけです。まだ買うかどうかわからないため、将来客/未来客などと言われるのも同じ理由です。
もう少し詳しく説明しましょう。
最近、「インバウンド・マーケティング(Inbound Marketing)」や「アウトバウンド・マーケティング(Outbound Marketing)」という言葉が国内でもよく使われるようになってきました。「プル型セールス」、「プッシュ型セールス」などとも言われますが、どちらも情報の方向性で見ると、二系統に分かれます。
1.企業⇒個客(企業側から、メールや電話、DMなどを送って相手に注目してもらう)
2.個客⇒企業(個客自らの意思で検索する、電話する、Webを閲覧する、店舗などに足を運ぶ)
チャネル、メディア、デバイスなど、企業と個客の接点/接触ポイントは多々ありますが、企業側からのアプローチは全て「アウトバウンド」という考え方です。それに対して「インバウンド」は、個客自らの意思にて接触行動を行う場合を指します。
こうした個客自らの意思によって、企業やサービスを「見つけてもらう」活動のことをインバウンド・マーケティングと言います。個客に見つけてもらうためには、自分達の製品やサービスを将来買ってくれる可能性の高い人が集まる、「ハブ(核)となる場所(すなわち、HubSpot)」を作るべきだ、という考え方が米HubSpot社CEOのBrian Halligan氏の意見です。
▼2011年7月 HubSpot社 表敬訪問時の写真
※リードナーチャリング勉強会にて、昨年のUS視察報告をさせて頂きましたが、興味ある方は是非Facebookをご覧ください。
ソーシャルメディア、オウンドメディアなど、メディアの分け方もトリプル、クワトロ等々、いろいろ言われていますが、個人的には、そこにコミュニケーションすべき相手がいる限り、接点/接触ポイントを用意すべきである、という理解をしています。
SEO対策やリスティング広告もその一種ですが、ターゲティング広告になるとプッシュ型になるので、アウトバウンドに近くなります。ただ、広告だから一概に全てプッシュ型=アウトバウンドかと言うと、そうとも言い切れません。
個客自らの意思によって企業に接触してもらうため、気づいてもらうため、発見してもらうためには何をすべきか――
インバウンド・マーケティングとは、これまでのメガホン型のマスメディアなど、プッシュ型(アウトバウンド)のコミュニケーションに頼らず、いかに相手のマインドに寄り添って接客するか(「おもてなし」や情報を提供/コミュニケートするのか)、という考え方だと理解するのが日本的ではないかと思います。
その根本にあるのは、相手の心を動かす「共感、関心、納得」といったマインドを醸成することで、コンテンツ内容や、接客(Web含む)の仕方、全てに関わってきます。
※最近よく「コンテクスト(文脈)が必要」などと言われるのは、そのためです。受け手にどのような感情や情感が湧くのか、という視点で考えることが重要になります。
話を戻し、整理します。
「タッチポイント」とは、企業と個客の接点/接触ポイントです。オンラインやオフラインという区別はなく、あらゆる接点のことを指します。
※海外ではオンラインが中心になりますが、日本の場合、店舗や営業といったオフラインでの接点も視野に入れる企業が多いです。
企業ブランドと個客(見る、触る、使う、試す、聞く、話す、読む、という五感)の接点がどこにあるのかを考え、単に見るだけ、店に来るだけ・・・ではなく、個客自らが行動(連絡をする、相談をする、見積りを依頼する、などの行動)を起こしたケース=(セールス・)リードと呼んでいるのです。
また、インバウンドだけでは、相手のマインドは醸成されません。そこにはコミュニケーションが発生するため、企業と個客とのやりとりが必ず発生します。
実は、リード(接点)とナーチャリング(マインドの醸成・育成)の間には、コミュニケート(伝える)という言葉が隠されています。
ナーチャリング・シナリオ設計では、アウトバウンドとインバウンドを「対面の会話」のように組み合わせていきます。裏側では、相手の反応や状態に応じて発信する情報を変えたり、絞り込んだり(=qualification)します。
※データベース・マーケティングと呼ばれることもあります。絞り込みの際には、スコアリング・モデルを使用します。
「シナリオ」と言うと、追い込み漁みたいで、刈り取り型の営業と同じではないかという意見もありますが、その仕掛けも様々です。
※一般的な企業では、年度や四半期単位で予算が決められているため、評価(効果)を算出するために、三ヶ月単位でシナリオを導入されるケースが多いです。
期間限定のキャンペーンやプロモーションもあれば、インバウンドの仕掛けも考えられます。
マーケティング・オートメーション・ツールは、このシナリオを自動化してくれるシステムです。人間が対面や電話などで全て対応できない場合に役立ちます。ただ、商材によっては対面営業でのやりとりが全て置き換えられるわけではありません。
シナリオによっては、営業担当者向けに「ここを回れリスト」を自動作成したり、「ここに電話しなさいリスト」を自動表示させる、などといったことも可能です。
どのように網を仕掛けておくのか、そこには情報システム部門も絡み、プラットフォーム/仕組みの構築が必須です。
最近は、概論ではなく、実践編として仕組みを構築したいというご相談が多く来ています。
・・・皆さんも、そろそろ実行に移しませんか?
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